盛土
新たに造成する場合は高さ1m以内で斜度30度以内である事などが条件です。
切土
新たに造成する場合は高さ2m以内で斜度45度以内である事などが条件です。
地耐力
実は不動産業者には通常歩行で目視できる範囲外の瑕疵については説明義務が有りません。建物を建てる際に建設業者に調べてもらい必要な施工をしてもらう必要が有るのですがそれまで地耐力を確認する機会はなかなか無いというのが現状です。従前の土地が水田だった土地や埋立地、盛土で造成された新しい分譲地などでは要注意です。売主業者に盛土で造成された土地かどうか確認し地盤改良の費用を想定しておくしかありません。
越境の確認
境界線を確認したら越境物が無いか確認します。
固定資産税・都市計画税(固定資産税課など)
不動産を所有すると固定資産税と都市計画税が毎年かかって来ます。いくらかかっているかは固定資産税課税台帳に記載されていますが役所でその記載事項証明書を取得する為には所有者の同意(委任状)が必要となります。
不動産取得税
不動産を買った時に一回だけ課せられる税金です。
売買契約
瑕疵担保責任
売買契約の約定で引渡し時に気付かなかった物件の瑕疵(欠陥など)が引渡し後に見つかった場合に売主が責任を負うか負わないかという取り決めが瑕疵担保責任です。
売主が宅地建物取引業者の場合は2年以上の瑕疵担保責任が義務付けられています。また新築住宅の場合は10年以上の瑕疵担保責任が義務付けられています。
売主が宅地建物取引業者ではない場合つまり個人間の契約では瑕疵担保責任の有無に制限は無く売買契約の約款により取り決められることになります。瑕疵担保責任有りの場合でも3ヶ月程度の場合が多い様です。ただし売主が瑕疵の存在を知っていながら告知せず隠していた場合は通常売主の責任になります。
手付金の額
通常は物件価格の1割程度で設定されます。売主が宅地建物取引業者の場合は手付金の上限が物件価格の2割以内と決められています。
損害賠償額
売主が宅地建物取引業者の場合は損害賠償額の上限が物件価格の2割以内と決められています。
停止条件付契約・解除条件付契約
停止条件付契約とはある条件が成就するまでは契約の効力が生じないという特約の事です。
解除条件付契約とはある条件が成就しなければ契約を白紙に戻すという特約の事です。例えばローンが金融機関により融資されなくなってしまった場合買主は代金を支払う事が出来ません。特約が無ければ違約金を支払わねばならなくなりますが解除条件が付いていればその特約で違約金を支払わずに契約を解除する事が出来るうえ手付金も戻って来ます。住宅ローンを組む場合はローン特約を付けた契約にしておいた方が良いのです。
擁壁
道路境界
当該土地と前面道路との境界が道路境界です。
前面道路が公道(底地の所有者が公の道路)の場合は官民境界が入っている場合があります。前面道路が前述の2項道路などで道路負担している場合は道路中心線が境界ということになりますので普通ポイントは入っていません。
隣地境界
当該土地と隣接地との境界が隣地境界です。
擁壁
土地に高低差が有る場合コンクリートなどで法面を固めているのが擁壁です。亀裂などが無いかよく見ておきます。3㎡以内に1ヶ所以上水抜き穴が設けられていなければなりません。コンクリートブロックや石を積み上げて作った擁壁や2段になった擁壁、水抜き穴が無い擁壁は適法ではなく要注意です。
金属鋲
金属プレート
プラスティック杭
コンクリート杭

重要事項説明
不動産の売買契約をする前に仲介、販売代理などの宅地建物取引業者(宅地建物取引業者(不動産業者)が売主の場合は売主も含む)は買主に対し宅地建物取引主任者(宅地建物取引士に呼称変更)の資格を持った従業者に重要事項を説明させねばなりません。基本的にはこの時に重要事項は確認出来るのですが、買主に予備知識が有れば理解度も違って来ます。稀なケースですが個人間の取引で売主が宅地建物取引業者ではなく仲介業者を介さない場合は誰も重要事項説明をする義務を負いませんので買主自ら調べる必要が有ります。
分譲
不特定多数の相手に対し継続反復して不動産を販売する行為(分譲)は宅地建物取引業と見なされ免許業者にしか行う事は出来ません。従って無免許業者や無免許の個人が上記の分譲を行っている場合は違法行為となります。
物件を調べる
知識が有れば物件を自分で調べる事も可能です。契約の前に出来ればある程度自分で調べて確認してみてください。
役所調査
市町村によっては建築主事を置いていて市役所等で調査可能なところもあります。建築主事を置いていない市町村の場合は都道府県庁で調査します。窓口へ行けば丁寧に教えてくれます。
都市計画法(都市計画課など)
市街化区域・市街化調整区域
用途地域
都市計画図で調べます。
日本国内の土地は都市計画区域内と区域外に大別されます。都市計画区域内は更に市街化区域と市街化調整区域、非線引き都市計画区域(未指定)に塗り分けられています。市街化区域には更に用途地域(住居地域・商業地域・工業地域など)や防火地域などが細かく定められています。分かりやすく言うと「住宅は住宅同士、工場は工場同士住み分けて計画的に町づくりをして住環境などを確保しよう」という事です。工業専用地域には住宅を建設することは出来ませんが準工業地域などには建築可能で実際に建っています。住環境を重視されるなら第1種住居専用地域などを選ぶと将来的にも良好な環境が確保される可能性が高いと言えます。今は環境が良くても将来どうなるかは都市計画次第という事も気にとめておく必要が有ります。
また「市街化調整区域」は市街化を抑制すべきと定められている区域ですから建物の建築には厳しい制約が設けられています。現に存在する既存の建物も建て替えには厳しい制限が課せられています。また「市街化調整区域」内の農地は農地法により売買や地目変更(田を宅地にするなど)にも許可が必要です。こういう土地に農家でもない人が普通に建物を建てようとしてもまず許可は降りないと考えておいた方が無難でしょう。
防火地域・準防火地域・法22条地域
地域ごとに建物の耐火性能に条件が定められています。
建蔽率・容積率・絶対高制限等
市街化区域か市街化調整区域かに関わらず土地の有効面積に対してそこに建築可能な建物の規模に制限がかかります。市街化区域では用途地域ごとに決められています。建蔽率は敷地面積に対する建物の建築面積(水平投影面積)の割合の上限(庇などの出っ張り1mを超える部分の面積などを含めます)、容積率は延床面積(各階の床面積の合計)の割合の上限、絶対高制限は建物の高さの上限です。このほか日陰規制、道路斜線制限、隣地斜線制限などによっても部分的に高さ制限がかかって来る場合が有ります。
その他の制限
埋蔵文化財(役所内の教育委員会など)
埋蔵文化財包蔵地などに指定されているところで建物を建てる場合は建築確認申請前に届出る必要が有ります。何か出土した場合は文化財調査の為に工事がストップする場合が有ります。
砂防法
区域内で掘削等を行う場合は許可が必要です。
景観法
区域内では建物の外観等に制限が有ります。
宅地造成等規制法
規制区域内で一定規模を超える造成工事をする場合は許可を受けたうえで一定の資格を有する者の設計による擁壁の設置などが必要です。
農地法
地目が田など農地の場合、売買や転用に制限が有ります。
建築基準法(建設課など)
建築計画概要書
都市計画区域内で一定面積以上の建物を建てる場合は建築基準法に基づく許認可(建築確認)を取得する必要が有り、その申請が建築確認申請と言います。役所に備えられている建築確認申請の概要が建築計画概要書です。窓口で請求し手数料を払えば写しを取得することが出来ます。ただし時代が古い物件は備えられていない場合が有ります。
完了届
建築確認申請をしていても申請通りの建物が建っているとは限りません。完了届が備えられていれば完了検査を受けた証明になりますから申請通りの建物が建っている可能性が高い(違法建築ではない)と判断出来ます。但しその後改築され不適格建築になっている可能性は残りますから現地と照合して比較することが望まれます。申請書類と現地が整合しないとか部分的に新しいという場合は後に増築されている可能性が有ります。ただし違法建築物をそれと知って売買する事は違法行為ではありません。行政から是正を命じられる可能性が有りますがそれを承知のうえでなら購入する事も可能です。
検査済証
完了届を受けて完了検査を受けた証明になるものです。ここまで揃えば少なくとも建築時には申請通りの建物が建っていると判断出来ます。
道路種別(道路課など)
敷地と道路との境界を道路境界、その部分を「接道」と言います。建築基準法に定められた幅員4m以上の道路に2m以上接道していない土地には原則として建築確認の必要な建築物を建てる事は出来ません。現在建物が建っていても将来建て替えが出来ません。これを「再建不可」と言い、現に建っている建物を「既存不適格」と言います。マンションなど一定面積を超える建物の場合は条例で4m以上の接道義務が課されている場合が有ります。
建築基準法上の道路には主に下記の様な道路種別があり行政により道路ごとに決められています。
42条1項1号道路(国道など)ただし自動車専用道路に接していてもその部分は接道には該当しません。
42条1項2号道路(開発道路など)
42条1項3号道路(建築基準法施行以前からある幅員4m以上の道路)
42条1項4号道路(事業計画のある道路など)
42条1項5号道路(位置指定道路)
42条2項道路(幅員4m未満の道路)
「2項道路」と呼ばれます。建物を建てる際は4mの幅員を確保する形でセットバックすることが条件になる場合があります。これを「道路負担」と言い、土地の一部を道路として提供しなければなりません。既にセットバック済みの場合はこの限りにありません。この場合、道路部分の所有権を市町村等に移管していないことが有ります。その場合は登記面積に道路負担分が含まれていることになり実際の有効面積はもっと小さいという事になり、建築可能な建物の規模にも影響して来ます。また道路部分の固定資産税等が非課税または軽減されているかどうかも確認しておいた方が良いでしょう。
43条ただし書き
「よんさんただし」と呼ばれます。本来は道路扱いではない通路状の空地などに接した土地に言わば特例で建築を認めるものです。建築の許可を得る為には原則として当該通路に接する土地所有者の同意が必要です。自治体によって運用が異なり不確定要素が多いのでリスクも有ります。
建築基準法上の道路に該当しなければ見掛けがいかに道路の様な形態でも「非道路」または「専用通路」などと呼ばれ道路扱いされません(従って建築不可です)。中古住宅にたまに見られる程度でマンションにおいては稀なケースですが実例は有りますから確認を要します。
稀なケースですが「カミソリ」と呼ばれる細長い土地が間に有って接道を妨げている場合が有ります。どんなに「カミソリ」の幅が狭くても接道していない事になり建築不可となります。この場合この「カミソリ」の土地も所有権を取得するか建物の敷地の一部として借りる必要が有りますが、こういう土地の所有者は悪意を持っている事が多く法外な値段を要求される場合が有ります。
権利関係(登記所)
登記簿
登記所は法務局やその支所などの事です。
不動産(土地・建物・区分所有建物)には基本的に地番・家屋番号が割り当てられ登記されています(例外あり)。住居表示とは異なり不動産そのものを特定するものです。
登記された物件の内容を表すものが「登記事項証明書(登記簿)」で、その地域を管轄する法務局に備えられていて利害関係人(つまり誰でも)が閲覧したり謄本を取得したり出来ます。
なお土地の用途を「地目」と言い登記簿に記載されています。「宅地」「田」「山林」などが有ります。
登記簿謄本を現に有効な情報に簡略化した「要約書」も取得可能です。
例外的に「換地」により再開発をした分譲地では分譲が全て完了するまで登記が出来ないため登記簿謄本が取得出来ない場合が有ります。その場合は登記に代わるものとして役所の出先機関(整備事務所など)に台帳が備えられています。この場合ローンを組める金融機関が限定されることが有ります。
「登記簿」には地番・家屋番号などが記された「表題部」、所有権に関する事項が記された「甲区」、抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記された「乙区」が有ります(抵当権などが無ければその登記簿には「乙区」は有りません)。因みに所有権の有る人が登記簿と同じ内容の記載された「権利証」を持っていることにより所有者だと確認できます。「権利証」は通称で実際には「登記済証」または「登記識別情報」と表紙に書かれています。「登記識別情報」は記号化されていますので所有者が発行を希望しなければペーパーベースの書面は存在しません。この場合記号を知っている人(個人または法人)が権利証を持っているのと同じことになります。
公図
土地は「筆」と数えます。公図はどの「筆」とどの「筆」が接しているかを表す図で、その境界線の事を「筆界」と言います。公図では「筆界」の長さは正確ではなく見た目の形は現況とかなり異なります。慣れるまでは見辛い図です。役所の固定資産税課などに「地番参考図」が備えられている場合が有りますので合わせて見る事をお勧めします。公図は正確には「地図に準ずる図面」と呼ばれ精度が悪いのですが新しい分譲地などでは「地図(14条地図)」と呼ばれる精度の高い図が備えられている場合が有ります。稀なケースですが古くから有る土地では逆に公図と現況が全く整合しない錯綜地も有ります。
地積測量図
新しい分譲地などでは境界ポイントの座標や境界線の長さが正確に記された図面が備えられている場合が有ります。この図面を「地積測量図」と言います。土地の面積を算出するための図面です。これが有ると万一境界ポイントが失われた場合も再現することが可能です。
建物図面・各階平面図
建物の面積を算出するための図面です。戸建の場合は壁の中心線の形、、マンションの専有部の場合は壁の内側の形がシルエットで表されています。
現地調査
境界
境界には境界杭や境界プレート、鋲、ペンキなどの目印が打たれている場合と何も無い場合が有ります。何か目印が有れば過去に立会って境界を確認した経緯が有ると推測できます。境界ポイントと境界ポイントを直線で結んだ線が境界線です。境界線は必ず直線です。公図などの図面と現地とを照合してどのポイントが図面上のどこと対応しているのか確認して行きます。境界に何も目印が無く塀などが無くて曖昧な場合は売主と隣地所有者に立ち会ってもらいどこが境界と認識しているか確認する必要が有ります。


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